どうも!
お晩で ございます。
わたくしが 住んでおります街は、
大変 のどかで
ございまして、
人と 自然に優しい、
良い お所でございます。
町内会の方々もね、
住みゆく我々を 温かく
見守って くださっておりまして、
何かと こめな 町内放送が、
豊かに 流れる ご近所です。
夕暮れが近づけば、
放送が入り、
災害が近づけば、
放送が入る。
そんな 街でございます。
ある日の事。
わたくしが いつものごとく、
のどかに 自宅で過ごしておりますと、
「行方が分からない方」の
お知らせが入りました。
あら。
大変。
わたくし、
自宅に おりますゆえ、
目下のところは
何かとお役に立てる気は
いたしませんが、
それでもやはり
町内の 一大事とあっては、
多少なりとも 耳をそばだてて、
お知らせを うかがうのが、
住人の義務というもの。
落ち着いた声で、
町内放送は 続いております。
どうも お話をうかがいますと、
そのお方は、昨夜から
行方が 分からない模様です。
放送は、
その方の 特徴を
大変ゆっくりと お知らせくださいます。
「 …性別は。
男性。
特徴は。
坊主。
ミドリ頭……」
ミドリあたま ?!!
お待ちください。
ミドリあたま ?!!!
ミドリの
坊主の
男性が
迷子 ??!
わたくし、 自宅のお手洗いにて
ひとり。
ハッと
息をのみましたね。
もしや、その方。
刀を 3本ほど、
所持してらっしゃらないかと。
将来は、
大剣豪に
なるお方でないかと。
もしや、
お連れの方は、
麦わら帽子をば
かぶって らっしゃらないかと。
よもや、
保護者の方は、
鷹の目 ミホーク
なのでは ないかと。
いえ。
あの方なら、
我が町内で、
行方不明になろうことも、
ゆめゆめ
ありえない事はない ぞと。
わたくし。
ありったけの夢をば
かき集め て、
捜し物などを
探しに行こうかと
思い始めた
その時、
町内放送は 続きの情報を
流して下さっておりました。
「年齢は……
90歳。」
あ。
ゾロちゃうわ。
わたくし どうもね。
「しらが頭」をね、
「ミドリ頭」とね、
聞き間違えたようです。
もうホント
なんで?
わたくしの 心配をよそに、
その方は夕方ごろ、
無事に 保護されたそうでございます。
よかった よかった !
はい。
特にコレといった、
大海賊時代を 迎えないまま、
わたくしの街は
今宵も のどかに
過ぎてゆきます。
みな皆さまに おかれましても、
空耳と
おたずね者には、
充分に
ご注意ください!